Rachael (Blade Runner)

映画「ブレード・ランナー」よりショーン・ヤングが演じたレイチェルを作品化。
先日、「追いつめられて」という映画を久しぶりに鑑賞した。1987年公開の古い映画で、ケヴィン・コスナー、ジーン・ハックマン、ショーン・ヤングが出演している。ショーン・ヤング、最近はお騒がせ女優としてしかニュースにならないが、この頃が絶頂期、「追いつめられて」にSF映画の名作「ブレード・ランナー」がショーン・ヤングの代表作だろう。

噂の映画「ジョン・カーター」を鑑賞した。
ウォルト・ディズニー生誕110周年記念映画として、製作費2億5千万ドルをかけて制作された超大作映画なのだが、最終的に全米での興収は72.5百万ドル、世界興収で2億ドルとプリント代や広告・宣伝費を入れると巨額の赤字を出してしまい、ギネスブックに「史上最大の赤字映画」として登録されるというニュースが流れた。余計なお世話だが、制作のディズニーの赤字は2億ドルを優に超えているだろう。

もっともディズニーがマーヴェルを傘下に収めたことにより、ディズニーの制作第一弾として公開された「アベンジャーズ」が「ダーク・ナイト」を抜いて全米歴代で第三位となる興収を上げ、大ヒットを続けているお陰で、「ジョン・カーター」で計上した巨額の赤字もかなり補填ができてしまいそうな勢いだ。

となると悲惨なのは監督のアンドリュー・スタントンと主演のテイラー・キッチュ、大赤字映画の監督＆主演として次回作に影響が出てしまうだろう。特にテイラー・キッチュは「バトルシップ」でも大赤字を出しており、このまま銀幕から消えてしまいそうな状況に追い込まれている。

さて、映画の方だが「ファインディング・ニモ」や「ウォーリー」のアンドリュー・スタントンを監督に迎え、初の実写映画作品とは言え、そんなに面白くない映画を撮ったのか不思議だったが、映画の出来はそんなに悪くない。ただ1912年に出版された原作を多分大真面目に映像化したのだろうから、どこかで見たような話が延々と続いてしまう。SF小説の古典は、いろいろな形で今の映画人に影響を与えているであろうから、それも仕方がないだろう。
それに今更火星に人類とは別の文明が栄えている・・・と言われても、もうひとつピンとこない。

ふとしたことで火星に飛ばされた歴戦の勇士ジョン・カーターは、重力や体の構造の違いから超人的な跳躍力を持っている・・・という設定も、まんま「ハルク」で見たイメージ。ハルクが研究所を抜け出して、大地を飛ぶように走る演出のパクりにしか見えない。
いっそ火星に行ってスーパーマンになってしまった男の活躍を描けば面白かったのだが、跳躍力以外は妙に中途半端に普通。

何で！？

何十メートルも飛ぶ跳ねることができるなら、キック力だけでも無敵のはずなんじゃあ・・・と妙に突っ込みどころが多い。

しかも、ジョン・カーター、トロくさくて捕まってばかり。二時間超の長い映画だが、捕まって鎖に繋がれているシーンがやたらと多い。やっと逃げ出したと思ったら、直ぐに捕まって牢屋に入れられる感じ。見ていて、かなりいらいらしてしまう。

映画のラストは結構壮大な戦闘シーンで面白くはあるのだが、ここも「トランスフォーマー2」と同じで広々とした場所で戦闘が行われてもあまり迫力を感じることができない。エジプトでピラミッドを破壊してもさして面白くなかった「トランスフォーマー2」より、シカゴの町を破壊し尽した「トランスフォーマー3」の方が断然面白かった通り。折角のラストの戦闘シーンもほとんど記憶に残らない印象の薄さ。

巨額の製作費をCGに費やしたためか出演している俳優さんも見たことがな顔ばかり。では、フルCGで描かれたサーク族が魅力的かと言うと、正直気持ち悪くて魅力が感じられない。ヒロインの王女ももうひとつ魅力的でないし、登場人物の中で最も魅力的なのが、主人公に犬のように従う見た目の悪い動物という始末。

それでも地球人としてのジョン・カーターのタフネスさは描いたエピソードはかなり面白いし、映画のラストはにやりとさせてくれる。映画を見終わって「続きを見てみたい」と思わせてくれた。
この辺りは監督の演出の良さだろう。